みなさんこんにちは。「極小なことからコツコツと」管理人のけんとです。
今日の記事は昨日の事故は買いか?の分析の続きになります。
昨日の記事では2銘柄(つまり2事故)しか見ていなかったので、今日の記事はそれを追加しものなります。
今日の記事では3銘柄を追加しています。
最後に、昨日の記事と合わせた5銘柄の結果をまとめています。
昨日の記事はこちらになります。
併せて読んでもらえると嬉しいです。
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【購入チャンス】事故を起こした企業の株は買いなのか?
「事件は売り、事故は買い」このようなフレーズ、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。 企業の責に帰するものではないのであれば(=事故)、その企業の株は買って損はないという意味です。 逆に、企業 ...
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では、今日の事例分析をはじめていきましょう。

金融資産の運用は自己責任でお願いします。
もくじ
事故事例③:日産化学の工場事故(2020年6月12日)
3つ目の事故例は2020年6月12日に発生した日産化学の工場火災です。
富山工場で火災が発生しています。
死傷者の人的な被害は出ていないということもあり、大きなニュース記事にはなっていない小規模な事故です。
ただし、日産化学はWEBサイトを通じて火災の報告をしています。
2020年6月13日を起点として前60日、後60日の株価を使って前回と同様のregression-discontinuity designで分析した結果が次になります。
事故でしっかり不連続が確認できます。
200円程度(3.8%)の下落が確認されます。
そして、その後の株価トレンドは復調傾向にあることがわかります。

事故事例④:アルプスアルパインの台風被害(2019年10月14日)
4事例目はアルプスアルパインの台風被害です。
これは事故ですが、自然災害に起因した事故です。
2019年10月14日の台風19号により、福島県いわき市の子会社工場で大きな被害(浸水被害)が発生した事故です。
当時のツイッターでも多くの人がツイートしてることを確認できます。
けさ10月15日の日経電子版トップ(https://t.co/GP6x4XW40i)3本です。
▶台風19号で浸水、生産停止 アルプスアルパインなどhttps://t.co/JGkvsrMaMz
▶台風19号、死者56人に 7県37河川が決壊https://t.co/hSH2nC7xBX
▶祝日取引ぶち上げた日本取引所の「次なる野望」https://t.co/TkXAF8ku3f pic.twitter.com/tHzga5WKdl
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) October 14, 2019
この事故についての同様の回帰不連続デザインによる分析結果が下図になります。
横軸の0が事故当日になります。
あれ?赤矢印のところでジャンプしています。
これは・・・・Q2の決算発表ですね。
決算自体は前年度比で悪化していたのですが、予想を上回る経常利益を確保できていたということで評価されて株価がジャンプしたみたいです。
なので、この分析はちょっとあてにならないです。
なので、Q2決算発表前までのデータで分析した結果が下図になります。
事故後のデータが10日分しかないので、ちょっと信頼性が乏しくはなります。
結果として、事故の影響はほぼないと言って良いでしょう。
そもそも切断面で不連続性がほとんど確認できません。
なので、このケースで株を買いか?と聞かれると、そもそも下がっていないから問が成立しないという回答になります。

事故事例⑤:荒川化学工業の工場事故(2017年12月1日)
6事例目は2017年12月1日に、荒川化学工業の富士工場で爆発火災が起きた事故です。
この事故では残念ながら2名の死者、重軽傷者14名の人的被害がでています。
当時のニュースやツイッターでも大きく取り上げられています。
【静岡の工場で火災 複数けがか】1日午前8時半ごろ、静岡県富士市厚原の荒川化学工業富士工場で火災が発生。けが人が数人出ている模様。発生時に大規模な爆発があったという情報も。 https://t.co/C8Y4ZXDvVH
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) December 1, 2017
この事故についての分析結果が次のとおりです。
事故当日大きく値を下げています。
150円程度(約6.5%)ですね。
わかりやすいくらい事故当日で不連続に切断されています。
したがって、間違いなく事故によって株価が下落したといえます。
一方で、11月1日でのQ2決算発表と、2月2日のQ3決算発表で2回下げているとはいえ、荒川化学工業の株価は事故後も復調傾向になく、一貫して下落し続けています。
短期的には元の水準にもどることは1度もなかったですね。

5つの事故株の分析結果まとめ
前の記事と今日の記事で5つの事故を扱いました。
これ、きっちり分析するのはとっても大変なので、簡便な分析にとどまってしまっていますが、まとめると次の表の通りです。
5事例しかないので、確実とは言えませんが、一つのキーとなるのが人的被害有無になっています。
クラレと荒川化学工業はともに人的被害を出しています。
そして、短期的(事故後の2ヶ月)には事故による株価下落を持ち直すことができていません。
なので、人的被害を起こしたような事故については、買うべきではないということなる可能性があります。
厳密な分析をするには、もっと多くの事故事例を調査しないといけないので・・・
また、決算の影響など事故以外の株価への影響要因をきちんと除去しないといけません。
時間があればちょいちょい事故銘柄の分析を追加してみようかな。
社名 | 日付 | 事故内容 | 人的被害 | 買ってOKだったか |
商船三井 | 2020/7/26 | タンカー座礁 | なし | ○ |
クラレ | 2018/5/19 | 工場火災 | あり | ✕ |
日産化学 | 2020/6/12 | 工場火災 | なし | ○ |
アルプスアルパイン | 2019/10/14 | 工場浸水(台風) | なし | 不明 |
荒川化学工業 | 2017/12/1 | 工場火災 | あり | ✕ |

まとめ
先日の2社の分析から今日は3社追加して5社にしてみました。
まだまだ納得しきれていない分析結果ですが、今後も続けていこうと思います。
まとめます。
ここがポイント
- 事故を起こした企業の株を買い!と考えるのは早計
- 事故の内容、特に人的被害が発生しているケースは事故による株価下落のりカバーができていない
- 逆に、人的被害が発生していない事故、かつ事故によって株価が下落していれば買い
- 事故の内容に注意が必要です