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【購入チャンス】事故を起こした企業の株価は下がるのか?

「事件は売り、事故は買い」このようなフレーズ、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。

企業の責に帰するものではないのであれば(=事故)、その企業の株は買って損はないという意味です。

逆に、企業の責に帰するものであれば(=事件)、その企業の株は売り!になります。

企業の過失か故意かの違いといってもいいかもしれません。

みなさんこんにちは。「極小なことからコツコツと」管理人のけんとです。

 

今日はこの投資界隈での格言について、実際の株価データを使って検証してみたいと思います。

事件や事故を起こしている企業など毎年大量に発生していますので、今日の記事では「事故」に注目して分析を行っていきます

特に、事故株を事故後の2ヶ月以内に売って得をするのかを見てみようと思います。

「事件」についてはまた今度。

 

 

けんと
毎回になりますが、このブログはただの情報提供です。

金融資産の運用は自己責任でお願いします。

 

 

事故例①商船三井

商船三井WEBページより

商船三井のタンカー座礁事故(2020/7/26)

1つ目は商船三井です。

2020年7月26日にモーリシャス沖で三井商船が運行するタンカーが座礁し、周囲の環境を現在進行系で破壊しています。

ただし、賠償責任は三井商船ではなく、船主の長鋪汽船にあるそうです。

でも、商船三井が運行していたことから、社会的責任はあるという主張もあるようです。

そのためか、2020年8月9日に商船三井は謝罪会見を行っています。

 

けんと
賠償責任はなくても謝罪するというのはなんかよくわからないですね

 

商船三井(9104)の株価推移

事故のあった2020年7月26日の前60営業日から後23営業日までの株価(終値)をプロットしたものが下の図です。

事故の日に黒い傍線を引いています。

パット見、事故で少し落ちたか?

でも、もともと事故前から下り坂じゃ?

事故によって株価コレ落ちたと言えるの?

のような感じになっています。

 

分析その①:簡単なイベントスタディ(線形)

1つ目の分析では、簡単なイベントスタディを使います。

イベント(事故)の前60日と後ろ23日の計94日間の株価(終値)データを使って、株価の線形近似を行います。

イベント(事故)の影響を定数項で捉えることとします。

 

結果は下の図の通りになります。

事故によって、株価は153円(事故当日の株価の8.2%)下がったことが統計的に示されます

下の図で、事故日の緑の線の間の距離が153円ということになります。

 

けんと
でも、この近似直線あってるの?なんか事故前から株価下がってるけど・・・

 

分析その②:Regression-discontinuity(非線形)

事故の前から株価が下がっているのに、強引に直線で近似しているので、ちょっと直感的にも合わない結果かもしれません。

そこで、次に非線形のRegression-discontinuity(回帰不連続)デザインという手法を用いて分析してみます。

わりと新し目の分析手法です。

 

分析結果は下の図になります。

直線ではなく曲線で関係を捉えています。

事故前の曲線と、事故後の曲線が事故日につながっていませんよね。

分析手法名はこの点からつけられています。

 

この不連続のポイントでおおよそ30円、株価が下がっています。

したがって、回帰不連続デザインを用いると、事故の株価下落は30円(事故当日の株価の1.6%)だということになります

さっきは153円といったけど、こちらのほうがより正確だと思われます。

 

けんと
思ったより小さいよね株価下落。なぜか5日後に一番落ちてるし

 

商船三井のタンカー事故の結果

タンカー座礁事故によって株価が下落するということが確認できました。

ただし、その下落幅は30円(1.6%)程度に過ぎないうこともわかりました。

そして、その後は株価は復調傾向にあることから、結果として事故後の株の購入は「あり」ということになります

もし、事故後も継続して下落しているのであれば、スルーなのですが、今結果はそうではないですから。

 

けんと
商船三井のケースでは、事故後の株購入はアリ!
けんと
わたしも直後200株だけ購入して翌日すぐ売って2万円弱利益がでました。

 

事故例②クラレ

クラレの米国工場火災(2018/5/19)

2つ目はの事故例はクラレです。

2018年5月19日に、クラレの米国現地子会社が所有する工場で割と大きな火災が発生しました。

定期修理後の再稼働時に火災が発生したそうです。

当時の記事では20人超が負傷していると報道されています。

このあと、2019年には訴訟も起きています。

 

けんと
この後の訴訟で100億円の和解金を払ってます。事後処理も大変です。

 

分析の結果

事案発生日(2018年5月19日)を起点として、前60日、後60日、計121日の株価(終値)データを使って、事故の影響を捉えます。

先ほどと同じ2つ分析をすると冗長となるので、回帰不連続デザインのみの分析結果を紹介します。

 

きれーいに事故後株価が落下しています

事故が起きたことで、瞬間的に40円(2.2%)程度下落しています。

ここでも事故によって株価は下落することが確認できます。

 

ただし、先程と違って、事故後60日たっても全く株価は復調していません。

この図を見る限り、このケースでは事故株の買いはナシということになります

(より長期ホールドの場合はこの限りではありません)

事故と同時に日本経済が停滞し始めたのか可能性もあるので、日経平均株価を確認していみます。

下の図が日経平均株価の推移です。

特に、事故のタイミングで景気が大幅下落傾向になったというわけではなさそうです

 

けんと
クラレの場合は、事故で株価下落して、そのまま下落傾向!

 

クラレの工場火災の結果

こちらの工場火災でも株価が下落するということが確認できました。

その下落幅は40円(2.2%)程度ということもわかりました。

商船三井のケースもそうでしたが、余り大きな下落幅ではありませんね。

 

ただし、商船三井のケースことなり、クラレの場合は結果として事故後の株購入は「ナシ」でした。

なぜなら、事故後の2ヶ月以内に株価が戻っていないからですね。

修理が完了したから安全となって再稼働したのに事故を起こしたということで、この事故ではクラレの責が大きい(つまりは起きるべくして起きた事故?)のように判断されたからかもしれません。

 

何も考えず盲目的に事故株は買い!というのは危険でな投資ということになります。

 

けんと
クラレのケースでは、事故後の株購入はナシ!

 

まとめ

まだあと2社分析をしようと思ったのですが・・・。

データを取ってきて分析してグラフ作成して、そして書いて。。。ここまでで4時間かかりました。

データ絡みの部分に時間が相当かかるんですよねぇ。

なので、力尽きました。

 

2社の分析でも正反対の結果が得られたので、やや不完全ですが良しとします。

まとめます。

ここがポイント

  • 事故を起こした企業の株を買い!と考えるのは早計
  • 事例1:商船三井のケースでは買い!
  • 事例2:クラレのケースではナシ!
  • 真逆の結果になっています。事故の内容をよく判断しないといけませんね。

 

わたしが言うのもなんですが、多くのブログは「主観」で記事を書いている事が多いです。

たとえば、典型的なのが「XXXXのためにXXXXをすべき理由5選!」のようなタイトルですね。

自分の経験則などで考えた5つに過ぎず、それが他人に当てはまるかは不明です。

インフルエンサーや有名人が言うことは信頼できるのではないか?という主張もありますが、それはいわゆる権威主義といわれるやつですね。

それは、最近のデータドリブン、エビデンスベースという概念からかけ離れた古典的な考え方です。

根拠に乏しいので、再検証可能性は担保できてないです。

わたしのキャリア上、曖昧な事実確認のまま結論づけるという習慣がありません。

なので、このサイトの記事では可能な限り客観性を担保していろいろと紹介していきたいと思います

 

けんと
このブログを持ち上げておきました!よろしくおねがいします!

 

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