今日は半導体のETF、SMHの記事になります。
私なりにチェックしていて、半導体をターゲットとしたETFはこのSMHのみかなぁと思います。
なので、このSMHに注目して、その内容とパフォーマンスを見ていこうと思います。
みなさんこんにちは&こんばんは。「極小なことからコツコツと」管理人のけんとです。
まず、半導体について簡単に説明をしていこうと思います。
それから、SMHの特徴を概観していきますね。
いつものように先に結論です。
先に結論
- 半導体はIoTや5Gで今後も需要増加が見込まれる
- 半導体のETFはたぶんSMHののひとつだけ
- SMHのこの10年パフォーマンスはSPY(VOO)どころかQQQよりも良い
- ハイテクグロースメインのQQQはこれから少し厳しくなるかもしれない
- これからの流れを考えると、SMHを保有は・・・・もう数年間はアリだと思われます
もくじ
半導体はこれからも伸び続ける!?
半導体とは
半導体とは、金属など電気を通す導体と、ゴムのような電気を通さない絶縁体の中間に位置する物質です。
低温時には電気を通しにくいですが、温度の上昇とともに電気を通しやすくなるみたいです。
わたしはド文系なので、専門的なことは全くわからないので、

という感じですね。
(正確には、「わからない」ではなく、「わかろうとしない」ですね)
この性質をどう使えばICチップや集積回路に応用できるのか全く想像できません。
この日立ハイテクのWEBページに半導体の説明がありますので、気になる人は一読してみるとよいかもしれません。
ともあれ、大事なことはこの半導体はCPUや電源ユニットなどの集積回路(ICチップ)に使われるだけでなく、LEDなどにも使われるということです。
5G(第5世代移動通信システム)で半導体需要が高まる!というようなニュースを見たことがあるかもしれません。
たとえば、↓は先月のAMDによるザイリンクス買収のニュースです。
半導体「FPGA」、5Gで拡大 米AMDが最大手買収https://t.co/34Ye8JdC7P
— 日経電子版 テクノロジー (@nikkei_tech) October 28, 2020
が、結局はこれはIoT(Internet of Things)によって多くの機器に複数のICチップ、LED搭載されるようになることを反映しているものと思います。
事実、EV(電気自動車)で半導体需要が高まるというような記事もあります。
なんで、5Gだから半導体需要が高まる!だけではなく、もっと広い意味のIoT関連で半導体需要が高まることが予想されているのだと思います。
IoTは5G前提だろ?って気もしますが。
「驚くほど単純」、半導体メーカーの常識超えるTesla製AIコア https://t.co/Q6XyEljVEI
— 日経クロステック 自動車・電機 (@techon) August 3, 2020
半導体の今後の需要は?
World Semiconductor Trade Statisticsによると、2021年は2020年と比べて6%の半導体需要が伸びると予想されています。
特にアジアでの伸びが大きそうですね。
ファーウェイ傘下のハイシリコンが2020年上半期のシェアトップ10に入ってきたことを受けての結果かもしれません。
(ファーウェイの半導体どうなるかわかりませんが)

WSTS WEBページより
次は2020年7月に一般社団法人半導体製造装置協会が公表した半導体製造装置の需要予測です。
2021年は前年比6.7%増、2022年は4.5%増と、製造装置についても堅調な伸びが予想されています。

半導体製造装置協会資料より
こちらは、報告書の中身は見れない(有料)のですが、2025年の需要は19年比で88.9%も増えるとされています。
日経新聞の記事にも書かれています(こちら)。
あまり個人のツイッターを貼るのは好きじゃないのですが、日経新聞の公式アカウントで記事が見つからなかったので・・・
[日本経済新聞]
半導体市場、25年に88%増 富士キメラ総研調べ https://t.co/93D2J24CoI— 日経 Top (@nikkei_top) September 8, 2020

半導体関連企業は大別すると3パターン
個人的な分類ですが、半導体関連企業は大別すると3つに分けれると思っています。
半導体製造装置企業、半導体設計(ファブレス)、半導体製造(ファウンドリ)の3つです。
半導体製造装置企業は、その名の通り半導体をつくる機械をつくっている企業です。
ファブレスは設計のみを行う企業で、ファウンドリはその逆の製造のみを行う企業です。
これらの売上上位の企業は下の表のとおりです。
IntelやTexas Instruments、Micronなどはファブレスとファウンドリ両方やっていますので、ファブレスとファウンドリどっちかに分類できない企業もあります。
順位 | 製造装置(資料こちら) | ファブレス(資料こちら) | ファウンドリ(資料こちら) |
1位 | Applied Materials | Qualcomm | TSMC |
2位 | ASML | Broadcom | Samsung |
3位 | Tokyo Electron | NVIDIA | Global Foundries |
4位 | Lam Research | MediaTek | UMC |
5位 | KLA | AMD | SMIC |
6位 | Advantest | Xilinx | TowerJazz |
7位 | SCREEN | Marvell | VIS |
8位 | Teradyne | Novatek | PSMC |
9位 | Hitachi High-Tech | Realtek | HuaHong |
10位 | ASM International | Synaptics | DB HiTek |
2019年の売上トップ10のうち、4社(Tokyo Electron, Advantest, SCREEN, HItachi High-Tech)が日本企業です。
参考までに日本企業の証券コードは以下です。
- 8035:Tokyo Electron(東京エレクトロン)
- 3857:Advantest(アドバンテスト)
- 7735:SCREEN(スクリーン)
- 8036:Hitachi High-Teck(日立ハイテク)
ファブレスはかなり競争が激しいです。
QualcommとBroadcomが同じくらいの売上のツートップです。
でも、NVIDIAやMediaTekも少なくない売上を達成しています。
さらに、先程紹介したように、AMDがXilinxを買収しますので、競争は今後も続いていくことが考えら得ますね。
ファウンドリはTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)がシェアの54%も締めており一強状態です。
次点がSamsungですが、シェアは16%にとどまっており、TSMCには大きく溝を開けられている状態です。
半導体の個別株をチェックしていくのであれば、これらの銘柄をチェックしておくことが良いかと思います。
ちなみに、半導体全体の売上トップ10だと、以下のような形になります。
先程の分類では登場しなかったIntelなどが出てきます。
順位 | 半導体全体(資料こちら) |
1位 | Intel |
2位 | Samsung |
3位 | TSMC |
4位 | SK Hynix |
5位 | Micron |
6位 | Broadcom |
7位 | Qualcomm |
8位 | NVIDIA |
9位 | Texas Instruments |
10位 | HiSilicon |

SMHの特徴
では、唯一だと思われる半導体のETF、SMHについて見ていきましょう。
いつものごとく、ETF.comで検索を書けてみましたが、半導体(semiconductor)ではこのSMHしかヒットしませんでした。
もし、他の類似ETFがあれば教えてもらえたら助かります。
主な特徴
SMHについての特徴をざっとまとめています。
設定年月日はミレニアムな年のこどもの日です。
経費率は思ったより高くはなくて0.35%です。
運用額もしっかりありますので、流動性や早期償還のリスクは少ないのではないかと思います。
VanEckのSMH紹介ページはこちらです。
管理会社 | VanEck |
設定年月日 | 2000年5月5日 |
経費率 | 0.35% |
運用金額 | 35.3億ドル |
連動インデックス | MVIS® US Listed Semiconductor 25 Index |
構成銘柄トップ10
2020年10月31日時点での構成銘柄とその比率です。
半導体関連の売上トップのIntelは4位で、1位はファウンドリダントツトップのTSMCです。
10位まででファウンドリはTSMCのみ、ファブレスは3社、半導体装置製造は2社、総合(ファウンドリ+ファブレス)は4社入っています。
もともとファウンドリについてはTSMCの一強状態なので、仕方ないとしても、装置製造・ファブレス・総合とバランスよく銘柄が入っている気がします。
2位のNVIDIAの比率が高いところを見ると、少しグロースにウェイトを置いているのかもしれませんね。
上位10銘柄の構成比率合計は58.2%となっていて、分散も結構効いているETFになっていそうです。
順位 | 構成銘柄 | 構成比率 |
1位 | TSMC(ファウンドリ) | 11.4% |
2位 | NVIDIA(ファブレス) | 7.6% |
3位 | Qualcomm(ファブレス) | 5.2% |
4位 | Intel(総合) | 5.0% |
5位 | Texas Instruments(総合) | 5.0% |
6位 | Lam Research(装置製造) | 4.9% |
7位 | ASML(装置製造) | 4.8% |
8位 | Micron(総合) | 4.8% |
9位 | NXP(総合) | 4.7% |
10位 | Broadcom(ファブレス) | 4.7% |

肝心のリターンはどうなのか?
では、みなさんが一番関心のあるリターンを見ていきます。
10年、20年の長期投資向けのETFとしてこの半導体SMHを考えている人は少ないかと思います。
わたしも20年もの長期の視点で半導体はあまり見ていません。
なので、あまり長すぎても仕方ない(というか昔と今とでは明らかに半導体需要が異なる)ので、まずはリーマン・ショック後となる2010年10月以降の10年間の比較をしてみましょう。
赤がSMH、水色がSPY(S&P500)、紫がQQQ(Nasdaq)です。
自分でも驚きました。
なんとSMH、パフォーマンスが非常に高いと人気のQQQを超えたパフォーマンスを叩き出しています。
10年間のリターンは+542%です。
10年で5倍以上に資産が増えてます。
- SMH +542%
- QQQ +463%
- SPY +206%
SMHはQQQとかなり似た動きをしていますが、この頃なショック後のリカバーがすごいですね。
コロナショックなんてなかったかのような動きです。
こうした直近の伸びは、冒頭にも紹介したようなIoT、5Gなどの半導体需要増加期待を反映しているのかもしれません。
VOO(SPYではなくVOO)、QQQについては過去記事でも取り上げているのでよかったら御覧ください。
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こっちは2020年4月1日以降の比較です。
新型コロナでの底値以降の比較になります。
色はさっきと同じで、赤がSMH、水色がSPY(S&P500)、紫がQQQ(Nasdaq)です。
約半年の運用成績でもやはりSMHが頭一つ抜けて高いです。
- SMH +49%
- QQQ +42%
- SPY +28%
こうした結果は、半導体関連企業がQQQの躍進のメインドライバーの一つとなったことを示唆していると思います。
そして、半導体関連企業はさらに需要が増加していく可能性が高いです。
一方、QQQ(ナスダック)に多く上場している小型グロースはこれからは少し厳しい時代が到来するかもしれません。
金利の上昇や景気のリカバリーという局面に差し掛かっているからですね。
先日の金融セクターでの記事(下の記事です)でもこのことに言及しました。
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ということは、QQQは少し成長速度が下がって、SMHは更に伸びるというシナリオがありえるということですね。
SMHに組み入れられている企業の多くは小型グロースではないですから。
なので、SMHをご自身のポートフォリオに組み入れることを検討する余地は充分にあるかと思います。
もちろん、TSMCやNVDAなどの個別銘柄を保有することでも大丈夫です。
でも、個別銘柄の調査がたいへん&面倒という諸兄にとって、SMHという選択肢はアリでしょう。

追記(2021/2/16)
最近の半導体不足についてもちょっとした記事を書きましたので良かったら見ていってください。
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まとめ
今日の記事をまとめます。
ここがポイント
- 半導体はIoTや5Gで今後も需要増加が見込まれる
- 半導体のETFはたぶんSMHののひとつだけ
- SMHのこの10年パフォーマンスはSPY(VOO)どころかQQQよりも良い
- ハイテクグロースメインのQQQはこれから少し厳しくなるかもしれない
- これからの流れを考えると、SMHを保有は・・・・もう数年間はアリだと思われます